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治験に関する賠償責任保険

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治験に係わる保険の概要

 治験薬に起因して、被験者の生命または身体を害した場合に、貴社が法律上の賠償責任を負担することによって被る損害をてん補する保険です。

薬ビンイラスト 約款構成
  • 賠償責任保険普通保険規約
    • +賠償責任保険追加条項
    • +生産物特約条項
    • +治験(薬)に関する追加条項
薬ビンイラスト 本保険に係わる法律
(1)医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP省令)第2章第14条(被験者に対する補償措置)では、「治験の依頼をしようとする者」の基準として次の通りを定めています。
『治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ治験に係わる被験者に生じた健康被害(受託者の義務により生じたものを含む。)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。』
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保険金をお支払いする損害

  貴社が法律上の賠償責任を負担することによって被る次の賠償金および費用がお支払いの対象になります。

チェックマーク 損害賠償金
  • 治療費
  • 休業損失 (死亡の場合は得べかしり利益の損失)
  • 慰謝料
チェックマーク 争訟費用
損害賠償請求に関する争訟につき、被保険者が保険会社の書面による事前同意を得て支出した費用。
チェックマーク 応急手当・緊急処置
応用手当、緊急処置に要する費用
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保険の対象にならない主な損害

 次のような損害については、保険金のお支払いができません。

  • キャンセルマーク 故意によって生じた損害賠償
  • キャンセルマーク 貴社の従業員が貴社の業務に従事中に被った身体障害に起因する賠償損害
    (注)第1相試験において、貴社の従業員が被験者となられた場合には、通常政府労災保険の給付対象とならないため、この免責条項が適用されることはありません。
  • キャンセルマーク 貴社と第三者との間に損害賠償に関する特別の約定がある場合に、その特別の約定によって加重された賠償損害
    (注)この免責条項についての詳細は、後記「治験における賠償責任の特殊性」をご参照ください。
  • キャンセルマーク 貴社が、故意または重大な過失により、法令に違反して生産または引き渡した治験薬に起因する賠償責任
    (注)薬事法等の法令に対する違反があった場合に適用します。
  • キャンセルマーク 治験薬が意図した効能を発揮しないことに起因する損害賠償
    (注)制がん効果を意図した治験薬がその効果を発揮せず被験者が死亡したような場合の賠償損害を免責とするものです。なお、副作用等の本来意図しなかった悪影響についての賠償損害は本保険の対象になります。
  • キャンセルマーク 胎児、胎芽、または卵子等の障害または異常に起因する賠償損害。
  • キャンセルマーク 治験薬の回収に、検査、交換、その他これに類する処置を講ずることにより貴社が負担する費用損害。
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治験における賠償責任の特殊性

  1. 治験における被験者の健康被害に関し、責任主体は通常製薬会社であると考えられますが、第2相試験以降においては、患者が被験者となるため、医師または病院の責任が問われる可能性があります。この場合、医師等の責任部分については、本来医師が自ら負担すべき性格のものですが、治験の実施にあたり、契約書等において製薬会社が医師の責任を肩代わりすることがあります。
  2. 第1相試験における健康人ボランティアの被害に対し、いわゆる賠償ではなく、災害補償規定による一定額の補償を行うことがあります。

上記2点は、本保険において「特別の約定によって加重された責任」として免責となるため、貴社がこうした契約を締結されている場合にはご注意いただく必要があります。
上記を簡単に図示しますと次のようになります。(下関係を示した画像を参照)

薬ビンイラスト (1)医師の責任と保険の関係
医師の責任と保険の関係
薬ビンイラスト (2)補償責任と保険との関係
保証責任と保険の関係
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保険期間(てん補責期間)

 原則として治験開始時を始期とし、終了時を終期とします。

 この保険では、保険期間中に生じた被験者の身体障害に起因し、保険期間内に生じた賠償請求が対象となります。なお、治験終了時以降に生ずる賠償責任を対象とするために、約定により保険期間を終了時から一定期間延長することができます。(最長で1年間となります。)

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てん補限度額

 被験者1名および1事故かつ期間中限度額のそれぞれについて限度額を定めます。

てん補限度額の標準例 保険期間中限度額
被害者1名について 3,000万円 3 億 円
1事故とは…
この保険では、発生時期または発生場所のいかんを問わず、同一の原因から生じた一連の事故を1事故とします。
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免責金額(自己負担)

 免責金額とは、1自事故による損害額のうち貴社に自己負担していただく金額をいいます。当社があらかじめ約定した免責金額を超える損害部分について保険金をお支払いします。(通常100万円~500万円で設定します。)

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保険料

 保険料は次の事項を通知していただくことにより別途算出させていただきます。

  • ボックスリスト 治験薬の内容(名称、適応症など)
  • ボックスリスト 治験の実施方法(投与方法、投与容量、各相別期間など)
  • ボックスリスト 被験者の選定方法(各相別の被験者の内容、人数など)
  • ボックスリスト 必要とする各相別症例数
  • ボックスリスト 予想される副作用
  • ボックスリスト 同効薬の有無(外国におけるものを含む)
  • ボックスリスト 主な治験の実施施設、実施機関
  • ボックスリスト 被験者の同意書(または被験者との契約書)写
  • ボックスリスト 治験実施機関との契約書写
  • ボックスリスト 賠償または補償に係わる約定がある場合はその写

(注)保険契約は1治験ごとに行っていただくため、保険料もその都度算出することになります。

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ご参考

薬ビンイラスト 薬事法第80条の2 第5項(治験の取扱い)
「治験の依頼をした者は、厚生省令で定める基準に従って、治験をしなければ ならない」
薬ビンイラスト 医薬品の臨床試験の実施に関する省令弟14条(被験者に対する補償措置)
「治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない」
薬ビンイラスト 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の施行について
  • 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。(3-14)
  • 開発業務受託機関に、治験依頼者ともに、当該受託機関により生じた健康被害の治療に要する費用費用その他の損失を補償するための手順を定めるとともに、その履行を確保するために、保険のその他の措置を講じておかなければならない。(8-2-5)
薬ビンイラスト 医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構との関係
機構の対象となる医薬品・・・薬事法第2条第1項に規定する医薬品
(注)薬事法第80条の2に規定する治験薬は対象外
薬ビンイラスト 補償ガイドラインの骨子(医薬品企業法務研究会平成10年度特別研究会発表)
<補償原則>
  • 治験依頼者に法的責任が無くとも補償する。(補償責任の明記)
  • 被験者の損害賠償請求権を妨げない。
  • 治験に起因した健康被害であれば補償する。(救済する)
    *白箱を使った市販後臨床試験にあってはガイドラインを適用する。
  • 健康人と患者に分けて対応する。
  • 補償の内容は、医療費・医療手当・補償金とする。
<補償の除外>
  • 機会原因に起因するものには補償しない。
  • 因果関係が否定されるものには補償しない。
  • 治験終了後の継続提供にあっては、賠償責任は追うが、補償責任は負わない。
<補償の制限>
  • 効能不発揮には原則として補償しない。
  • プラセボ投与により治療上の利益を受けられなかったとしても原則として補償しない。
  • 治験実施計画書からの逸脱、第三者の違法行為または不履行、被験者の故意または重過失によるよるものには補償がされないか制限される。
<補償基準>
  • 医療費は、被験者の健康保険等からの給付を除く被験者の自己負担額を償還する。
  • 医療手当ては医薬品副作用被害救済制度に準じて支払う。
  • 補償金は、健常人を対象とした試験にあっては政府労災給付金を、患者を対象とした試験にあっては医薬品副作用被害者救済制度の給付金に準じて支払う。
<補償ルール>
  • 補償責任を自発的に果たす。
  • 因果関係否定の立証責任は治験依頼者が負う。
<判定委員会>
  • 不服の申し立てには、治験依頼者の費用負担で中立的な第三者の判定を被験者、治験依頼者双方が尊重する。
  • 判定委員会の判定に不服がある場合、民事責任ルールによる。
  • 判定委員会は損害賠償請求には関与しない。
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臨床研究に関する倫理指針の改定

「臨床研究に関する倫理指針」が改定され、平成21年4月1日より施行となったことにより、研究者等(研究責任者、臨床研究期間の長その他の臨床研究に携わる者)は、下記に定義される臨床研究のうち、①に規程される研究(体外診断を目的とした研究を除きます。)を実施する場合、被験者に生じた健康被害の補償のため、あらかじめ保険その他の必要な補償措置を講じ、かつ、被験者に対して、当該補償の内容を事前に説明し、文書により同意を得ることが責務として求められることとなりました。

■臨床研究倫理指針の対象となる臨床研究の定義

 医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上を目的として実施される次に掲げる研究であって、人を対象とするものをいう。

  1. 介入を伴う研究であって、医薬品又は医療機器を用いた予防、診断又は治療方法に関するもの。
  2. 介入を伴う研究(①に該当するものを除く。)
  3. 介入を伴わず、試料等を用いた研究であって、疫学研究(明確に特定された人間集団の中で出現する健康に関する様々な事象の頻度及び分布並びにそれらに影響を与える要因を明らかにする科学研究をいう。)を含まないもの。

 ※介入:

  1. 通常の診療を超えた医療行為であって、研究目的で実施するもの。
  2. 被験者の集団を2群以上のグループに分け、それぞれに異なる治療等を行ってその効果等をグループ間で比較するもの。

■治験と臨床試験、臨床研究の区分

治験と臨床研究の区分

人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得る為の成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています。

治験と臨床研究の定義

治験を行う病院は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」という規則に定められた基準を満たす病院だけが選ばれます。

  • 医療設備が十分に整っていること
  • 責任を持って治験を実施する医師、看護師、薬剤師等がそろっていること
  • 治験の内容を審査する委員会を利用できること
  • 緊急の場合には直ちに必要な治療、処置が行えること

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医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP:Good Clinical Ptactice)について

医薬品の開発の最終段階においては、ヒトを対象とした臨床試験(治験)による薬物の臨床的な評価が必要不可欠であり、ここで収集された資料等に基づき医薬品の製造又は輸入のための承認申請が行われる。この治験の実施に当たっては、被験者の人権と安全について十分な配慮がなされることを前提として、治験の科学的な質と成績の信頼性が確保されていることが必須となる。
このような観点から策定された基準が「医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)」であり、我が国においては、平成元年に薬務局長通知による行政指導として最初のGCPが定められた。その後治験のより一層の適正な実施、更には欧米との間でGCPの国際的調和を図る観点から、GCPの内容を改定するとともに、平成8年6月の薬事法改正により、GCPの根拠規定を整備し、治験を依頼する治験依頼者(製薬企業)のみならず、治験を実施する医療機関及び治験を担当する者に対して、その遵守を義務付けることとなった。基準の内容については、平成9年3月に「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年3月厚生省令第28号)」として定められ、平成10年4月から全面施行されている。

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新GCPの内容

平成10年4月から全面施行された新GCPは、以前のGCPに比べ次の特徴を有する。

  1. ) 被験者となるべき者に対する治験に関する文書による説明と同意の取得
  2. ) 治験総括医師制度の廃止
  3. ) 治験依頼者の責任範囲の拡大と強化
    • (ア)業務手順書、治験実施計画書、治験薬概要書等の作成義務
    • (イ) モニタリング・監査等の治験管理の実施
    • (ウ)治験総括報告書の作成
  4. ) 治験審査委員会の機能の充実
    • (ア) 外部委員、非専門家委員の参加の義務付け
    • (イ) 審査機能、責務の明確化
  5. ) 治験責任医師の責任と業務の明確化
  6. ) 医療機関における治験事務局の強化

「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて(平成24年12月28日)

SJ13-50313 (平成25年9月5日)

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